この記事は、介護の現場で出会った出来事を歌詞にするとき、僕が大切にしている視点についてまとめたものです。
僕は、介護の仕事を通して出会ったお客さんとの出来事や、心に残った感情を、歌詞として表現することがある。
その際に、必ず意識していることが二つある。
それは、「お客さんの名前を直接的に出さないこと」と、「特定の場面に限定しすぎない表現を選ぶこと」だ。
介護の現場は、とても個人的な時間と空間が重なっている場所だ。
一人ひとりの人生があり、背景があり、家族との関係がある。
だからこそ、その出来事をそのまま切り取ってしまうと、誰かの人生を一方向から固定してしまう危うさがあると感じている。
名前を出さないのは、単に個人情報への配慮という理由だけではない。
「この人の話」と限定してしまうよりも、
聴いた人それぞれが、自分の記憶や大切な誰かを重ねられる余白を残したいからだ。
また、出来事を特定の状況に絞りすぎないようにしているのも同じ理由だ。
介護の現場で生まれる感情は、特別な事件から生まれるものではない。
何気ない会話、沈黙の時間、ふとした仕草。
そうした瞬間に宿る想いは、多くの人に共通していると感じている。
抽象的な言い回しを選ぶことで、
歌は「ある一人の記録」から、「誰にでも起こり得る物語」へと広がっていく。
それが、介護の現場で感じた想いを、外の世界へ届けるための一つの方法だと思っている。
介護の仕事と音楽表現は、どちらも人の心に触れるものだ。
だからこそ、相手の尊厳を守りながら、想いをどう伝えるかには、常に気を配っていたい。
この視点が、介護に関わる方や、誰かの経験を表現しようとしている方にとって、少しでも参考になれば嬉しい。


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